第十二章
あまりにも眩しい。
「で、でも、」
物は言いようとはよく言ったものだ。しかし知らなかった云々を抜きにしても何もしていなかったのは紛れもない事実なのだから──そう思って言い返そうとしたのに目も眩むような満面の笑みを向けてきたおかげでたじろいでしまった。これはある種の圧というものじゃなかろうか……
「すみません。そろそろ」
「分かった」
パルテナが僅かに顔を顰めて言うと頷いて応えたイレブンが進み出て足下に魔法陣を展開──入れ替わるように防壁を張って被弾を防ぐ役に。どうやら長くそれを繰り返して凌ぎながら各位の治療を施していたようだ……しかし残念なことに此方にも魔力や気力の限界というものがある。いつまでそうしていられるとも限らない──体勢を整えたらいよいよ次の行動に移らなければ。
「ルーティ!」
そう思って立ち上がった直後のことだった。
「ふ……フォックス……!?」
洗脳から解放されたからには遅かれ早かれこうなっていたことだろう──完全なる不意打ちで飛び込んできたのはフォックスである。狼狽えるルーティに構わず抱き締める腕に力を込めながら、
「よかった……よかった……!」
今この状況を噛み締めるかのように。
「本当に、無事で……!」
「、フォックス……」
ルーティは小さく名前を呼んだ後で委ねるように瞼を閉じた。それこそ好きなだけ思う存分体温を確かめてくれと言わんばかりに。
「怪我はしてないか?」
「してないよ」
「よく頑張ったな」
「フォックスも」
そうして小さく笑い合う。
「寂しくなかったか?」
「大丈夫だよ」
だって、と言葉を繋いで振り返る。