第十二章



ミカゲとジョーカーの二人から大体の話は聞かされているのだと話すとロックマンは空白を埋めるように説明を始めた。

当初の目論み通りに一番最初のキーラの攻撃から逃れることに成功したイレブン達は真っ先に他のフォーエス部隊を探した。そこで何度かルーティ達を見つけることがあっても同行せず、寧ろ避けるように別行動をとっていたらしい──そうして見つけた仲間が洗脳によりまともな思考を失っていたのは寧ろ想定内といったところで。どれだけ時間が掛かっても最初の一人を確実に覚醒させるという意思の元その念願が叶った相手がミカゲ。

そこから芋づる式に解放していく中で一行はダーズの存在を知ることになる。その隊員数を半数までに回復させたフォーエス部隊は二手に分かれて残りの隊員の解放を目指すことに。


そして。現在に至る。


改めて聞いてみてもよくもそんな無茶を遣って退けたなと思う。言葉では説明できない様々な計算や策があったのだとしてもそれだけでは片しきれない──その片しきれない問題の全てを"仲間を信じる"ことで彼らは乗り越えたのだ。


──大丈夫。何があったとしても。

僕たちは必ず戻ってくる。


同じ正義を志す大切な仲間たちの元に──


「じゃあ……本当に?」
「もちろん」

ロックマンは頷いて微笑みかける。

「X部隊もそこに」

ぶわっ、と。ルーティは胸の中で花咲く感覚を覚えながら反射的に振り返った。一瞬ぼやけた離れの集合体の正体がはっきりと映し出されてそれがフォーエス部隊の一部隊員から治療を受けている様子のX部隊だと知ってしまえば鳥肌。

「パルテナ様がいやに急ぐからどうしたんだろうって思ってたんだけど」

ピットはその時の状況を話す。

「ほら、ボク達が亜空間にいた時……あの時には既にフォーエス部隊がX部隊と戦ってたから急ぎたかったんだね」

それを聞くとルーティは眉尻を下げながら。

「フォーエス部隊が頑張ってくれていたのに……僕たち、何も知らなくて……」

ロックマンは首を横に振って否定する。

「作戦の一環というものだよ。全員が全員この作戦を理解して行動していたとしたら彼らも意図に気付いて邪魔立てしてきたことだろう──これは君たちが知らないからこそ成立する作戦だ。寧ろ協力に感謝するよ。ありがとう」
 
 
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