第十二章



聞き返そうとすればまるで遮るように強い風が吹いて──暴れる髪の毛を掻き分けながら顔を上げればまずイレブンの姿が目に入った。視線が合わされば意味深に空を見上げるので釣られそうになるも直後に胸に飛び込んできたラディスに気を取られてしまう。そうして、軽く辺りを見回してカービィやミカゲの姿を目に安堵しながら今度こそ真面目にその全貌を見渡せば。……はたと。

「え」


何処までも広がる空がそこにあった。

神々の争いは先程より遥かに近い空の上で未だ止まず繰り広げられており、その戦況を表すかの如く淡い山吹色と暗い紫の雲が鬩ぎ合っている──その都度被弾する攻撃の全ては半円の橙の防壁によって幾度となく阻まれた。

それを作り出しているのはどうやら杖を構えたパルテナのようである。そして今自分たちのいる場所──それはなんと雲の上だった。まさか何処ぞのファンタジーのように雲の上に直接立っているのではない──あの厚い雲の上に被せるように、透明な地面が何処までも続いていたのだ。


「ルーティ!」

女神がいるからには天使もいるわけで。気付いて振り返るより早く横から飛び付いてきたのは案の定ピットだった。続けざま鼻を鳴らす音にぱっと目を遣れば此方を腕組み睨み付けていたブラピがふいと顔を背ける。何をしたつもりもないがとにかく彼らも無事だったらしい。

「僕……」

ともあれ状況が掴めない。

「ロック!」
「隊長!」

そんな間にも状況は変化していく。

「全員無事です!」
「そうか。よくやった」

マークとルフレは報告を終えた後でルーティに気付くと目を丸くした。まさか談笑している暇などあるはずもなくロックマンが口を開く。

「俺が説明しよう」
 
 
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