第十二章



受け売り?……そうかもしれないな。

でもそういうものだろう?


より良い意志は受け継ぐべきだ。

未来に繋ぐために。……


「ルーティ」

いつの間にか瞼を瞑っていたらしく。名前を呼ばれてぱっと開いたが途端に飛び込んできた明るい世界に目が眩んで再び瞼を瞑ってしまう。

「う、」
「大丈夫かい?」

この声には聞き覚えがある──ルーティは眉を寄せてしまいながらもゆっくりと瞼を開いた。強く瞼を瞑っていたお陰で視界は暫くの間ぼやけていたが、次第にはっきりとしてくると案じるように覗き込んできた相手に目を開く。

「ロックマン!」


あの時──光の追尾から逃れることに成功したウルフェンの上で大体の話は聞いていたのだ。無茶苦茶な内容だとは思っていたがそれより何より彼らが全ての計算を捨てて"仲間を信じる"ことに舵を切ったことには驚いた。

客観的に見るとそう捉えてしまうことでも結局自分にとっては癖のようなものである。そんな時として仲間に叱られ敵に嘲笑われてきた悪癖に近しいそれを畏れ多くも意志と称して紡いでくれたのだからこそばゆくも悪い気はしない。


「よかった……よかった……!」

後輩ってこんな感じなのかな──こうなれば愛おしさすら感じて勢いで飛び込んでしまったルーティだったがそんなことは気に留めずにロックマン本人はくすくすと笑いながら抱き止めた。

「祝杯はまたの機会にしよう」

ロックマンは肩を押して解放しながら。

「君の口に合うか以前の問題だ。残念ながら今はおろす時間すらいただけないらしい」
 
 
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