第十二章



そして訪れる──運命の時。


「ロック!」


"当初の予定通り"パートナーに担がれたその人を見送った後で呼ぶ声に気付いて振り返れば間一髪飛び込んできた青年が得意の雷魔法を使って光の猛攻を抑え込んでいた。何を言うより先に頷いて持ち場に戻るべく駆け出せば程なくして光は雷魔法を打ち破り青年を有無を言わさず呑み込む。

「状況は!」
「推測されるキーラの神力残量は──」
「きゃああっ!」

次々と仲間が呑み込まれていく。

「、出ました!」

ブルーはノートパソコンを手に顔を上げたが。

「──!」

発言するより先に光に呑み込まれてしまい残されたノートパソコンは酷く地面に投げ出されて画面を暗転させる。だがしかしその一瞬ロックマンは映し出されていた数値を見た。

「三十パーセント!」


残された隊員の闘志が蘇る。


「俺は、……いや」

クロムは剣を構える。

「俺たちは負けん!」
「必ず勝ちましょう」
「てーか敗北とかくっそダサいし!」

パックマンは光を躱して立ち向かいながら。

「そーいうのオレらの中で流行ってないから!」


これは全滅であって全滅ではない。


「後どれくらいだ!?」
「ええい、ヤケじゃヤケじゃ!」
「こらっ頭ごなしに突っ込むな馬鹿たれが!」

阿鼻叫喚の中ロックマンはキーラを見据える。

「……ソロか」

影に気付いて呟けばソロは頷いた。

「最後の一撃を凌いだらルーラを使ってこの場を離脱しろ。その後の手順は心得ているな?」

人より無口な彼は頷くだけで意思を示す。

「よし」


チームの崩壊を受け入れる大胆な作戦。

鍵となるのは──信じる心。


「まったく……とんだ賭けに出たな」

呆れたように言ったケンが隣に並べば。

「はは。まさか」

ロックマンは肩を竦めて返す。

「勝利を確信しているからこそだよ」


必ず。

絶望を打ち砕く。


「──導いてみせる!」

ベレスとベレトが声を揃えれば。

各々は気迫の籠った声を張り上げながら。


「おおぉおおおおッ!」


光の中へ。……
 
 
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