第十二章
「イレブン」
「あっ」
ロックマンが呼ぶと顔を上げたのは。
「アイツ寝ちゃって、今はオレで……」
「アルスか。……なら共有してほしい」
そうして再び机の上に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に運びながら。
「第四正義部隊フォーエス部隊は」
暗く重く冷たく。
おもむろに視線を上げて。
「今作戦にて」
宣告する。
「──全滅を選択する」
……え?
「諦めるのか?」
「いや違う」
クラウドの問いにロックマンは首を横に振る。
「お前には魔法が使えたはず──その中に魔法を跳ね返すものがあっただろう」
マホカンタ──比較的手軽な魔力消費で使える物理以外のあらゆる技を反射する魔法。確かに低コストの割には優秀なのでもしかしたら一度くらいキーラの攻撃を凌げるかもしれないが。
「でも、あれは」
「神じゃない限りは万能じゃない。こればかりは全てのものに等しくそう言える」
ロックマンが静かに立ち上がると反対にそれまで起立していたマークは椅子に腰を下ろした。
「シュルクの視た未来が確かならキーラは余さず全滅を狙うことだろう──けれどマークの話した通り神力だって有限に過ぎない」
説明をしている間に粗方理解したのであろう、ブルーがノートパソコンのキーボードを素早く叩いて予めセットされていたプロジェクターにデータ送信をする。続いて気付いたしずえが急いで立ち上がりスクリーンを下ろせば。
「……!」
映し出された図解に室内がざわつく。
「これは持久戦だ」
ロックマンは言い放つ。
「持てる力の全てを出し尽くしてキーラの攻撃に対抗する。目的はその時十中八九居合わせるであろうマスターハンドとクレイジーハンドの陥落の阻止──そして我々に何かあったとして再び戦士として目覚める為の要たる勇者一行の防衛。お前たちは何としてでも生き残れ」
静かに息を呑む者。
「これは全滅であって全滅ではない」
闘志を宿す者。
「──『