第十二章
予め各隊員の手元に配られていた資料紙には光の化身キーラに関連する情報が記されていた。
天空大都市レイアーゼが大天空界だった時代に最も神に近いと云われる光の種族が作り上げた神威──多く古代兵器と称されるあの無機質な光の玉は真の姿ではなく繭の姿。そうしてこの世界を手に入れるべく引き起こされた大戦争でその侵攻を食い止めた唯一の互角の存在。それは果たして善か悪か。光操るその化身に対抗し得る存在ということは混沌や闇を?……
もちろんここにいる誰も実際に目にした訳ではない。けれどシュルクが未来視で視た未来の映像を元に想像する。攻撃のパターンや行動原理──何処かに打開策はあるはず。資料紙を裏返して書き込みながら挙手制で意見を出し合う。ロックマンは机の上に両肘を立てて寄りかかり両手を口元に運びながら目を細めた。
課題は。
生物を無力化する光の攻撃。
全滅と語るからには音速を誇るあの人でも逃げ切れなかったということ。どんな攻撃で対抗しようとも全て余さず無に帰す強大な力。加えて反射も許されないのであれば八方塞がりか。
「兄さん?」
隣でひたすら思考を巡らせてぶつぶつと呟いていた声が不意に止めばルフレは振り返る。
「……キーラは」
その声に誰もが釣られて顔を上げた。
「"まだ"神じゃない」
「どういうこと?」
「キーラには大きな弱点がある」
勢い余って立ち上がるマークに注目が集まる。
「順を追って説明するよ」