第十二章
……本当だ。こっちに向かってくる!
本来狙うべき相手から大きく逸れているどころかあからさまに此方を認識して仕留めるべく狙いを定めて突進してきた光の矢を声を掛け合う間もなく各々躱して身構える──構えたところで攻撃が通じる相手でもなさそうなものだがこればかりは条件反射というものだった。
「父さん!」
走るラディスが光の矢に追われて挟み撃ちになりそうになっていたところをルーティが横から飛び込んで抱きかかえながら地面に転がれば。
「、馬鹿!」
クレシスが声を上げた時には。
光の矢が一直線に向かってきていて──
「マホカンタ!」
今の声は。
「、え」
ラディスを腕に抱えながらそろそろと上体を起こしたルーティは自分も父親も無事であることに気付いて小さく目を開く。それどころか向かい来る光の矢全てが目の前に立ちはだかっている青年のお陰か余さず跳ね除けられている。
「間に合ってよかった」
この人は。
「──イレブン!」
まるで答え合わせをするかのようにミカゲがその人の名前を呼んだ。
「わたしの後ろに」
イレブンが指示をすると各々は頷いてルーティとラディスのいる場所に集った。未だ光の矢による猛攻は止まず、けれど構わず冷静に足下に青色の魔法陣を展開してイレブンは唱える。
「ルーラ!」