第十二章
◆第十二章『結集』
甚く耳に障る果てのない嗤い声。
まるで硝子を踏み付けたようなか弱い音を立てながら堕ちていく羽根。薄目で睨んで見送った後で静かに視線を戻せば目と目が合う。
「ひひっ、あは! お兄様怒ったあ?」
痛みはない。……ただ。
「その声は不愉快というものだ。……愚弟」
展開。
「わぁっ」
墜落していく四対の羽根。こうなれば勝敗がついたかのように思われたが直後突如として直視すら許されないほどの強い光を放ったかと思うとそれぞれが青い光に変化して弧を描いてキーラの元へ舞い戻り瞬く間に吸収されたのだ。
ともなれば先の展開は読めたもので今現在はダーズの駒として活動しているクレイジーが阻止するべく発現させたエネルギーピラーを携えて接近を図るもキーラの駒たるマスターが右手を振るい、創り出した防壁で阻んで弾いて返り討ち。
次の瞬間には。
美しい四対の羽根が展開していた。
「ふふ。やっぱり」
光の速さで激しく打ち合うマスターとクレイジーには目もくれないまま。
「お兄様にはそれが一番似合ってるよ」