第十一章
当然、自分の発言だけで納得してもらえるものとも思っていない。執拗に問い質すでもなく無言で見つめるだけの彼が一体何を頭の中で考えているのかだって検討も付かない──けれどルーティも張り合うように視線を逸らさなかった。
「……おい」
クレシスが口を開いた。
「状況が読めない。説明しろ」
「あー。信じる方向でいくわけね」
「じゃねぇと話進まねーだろ」
カービィは息をついて腕を組む。
「……あんた最後何してたか覚えてる?」
「天国からの強制的なお迎えか知らねえが光の形した群れが縦横無尽に飛び交う中を上の連中からの指示で必死こいて避難誘導してたよ。ま、この状況を見るに神様の目論み通り全員お陀仏だったってわけだ」
そう言って両手を上に向けて肩を竦める仕草はあからさまにスピカではない。示唆するようにしてジョーカーはミカゲに視線を向ける。
「で。次に目ぇ覚めたらこれだ」
「よく混乱しないよね」
「摩訶不思議な事象には慣れてる」
それもそうか、とカービィは納得。
「えっと……その体が誰のものか分かりますか」
「鏡も無えのに正確な判別もクソも無えがそこの二人が顰めた面してんのは見えてる」
ミカゲとジョーカーは揃って視線を戻した。
「しょぼくれた顔すんな」
表情に陰りを見たのだろうクレシスはルーティの頭を荒く掻くように撫でながら。
「この体で二度目の人生を全うするつもりなんざない。いずれコイツも目覚めるだろうよ」