第十一章
静かに、目を開く。
「……はい」
あれだけ迷っていた言葉がすらすら浮かぶ。
「ルーティです」
何故なら。
「僕が分かりますか。……クレシスさん」
スピカが僕を呼ぶ時は。
「……マジ?」
カービィは呆気にとられた様子で。
「本当にクレシスなの?」
「僕のことを知っているのに僕のことを"ルー"じゃなくてルーティって呼んだ……」
ルーティは上体を起こす手助けをしながら。
「見た目は……スピカだけど」
「──嘘偽り等では御座らぬな?」
ぎくりと肩こそ跳ねたが正直、焦りはなかった。嘘をついていないという絶対的な自信──即ちスピカの体の中にクレシスの魂が在るのは事実だと自分自身疑いようがなかったからである。
「……本当だよ」
ルーティは真っ直ぐ見つめ返してはっきりと。
「この人は……クレシス・リー。スピカの父親でフォーエス部隊の管理下だ」