第十一章



なんて恐ろしいことを言うんだ、と。

神々の不毛な争いを鎮めるべく試行錯誤しているというのに。そんなことは万に一つも有り得ない──寧ろあってたまるかと即座に言って返したいところだったが強く否定しきれないという現実。空笑いを浮かべるばかりだった直後のこと。

「、ん」

スピカが呻き声を漏らしたのである。

「すっ」

呼びかけて、

「、クレシスさん……」
「まだ決まったわけじゃないんだから」

カービィに突っ込まれてそれもそうか、と。

ふと視線を感じて其方に目を向けてみれば案の定気付いたミカゲとジョーカーも距離を置いて注目していた。これはもう寧ろ目覚めたのがスピカであれ事情を話してクレシスの真似をしてもらった方がいいのではなかろうか、なんて。

考え得る展開を想定していれば。

「……?」


重く瞼を開いて遂に──覚醒した。


「……お前……」

声はスピカである。スピカの体なのだからこれに関しては当たり前なのかもしれないが。……そもそもどんな口調や振る舞いを見せてもらえればスピカではなくクレシスだと納得できるか自分自身考えてもいなかった。

「えっと」

現在の職業がフォーエス部隊の管理下とは聞いていても関わりが深い方ではなかったし。となれば敬語を使うべきだろうか──といった具合にどう話しかけたものか言葉を迷わせていると。

「……ルーティ、か……?」
 
 
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