第十一章



おいおい。……ルーティがそろそろとラディスに視線を戻すと当の本人は誤魔化すように空笑いをするのだから口角が引き攣る。

「そ、それにしても──彼らの正義感は凄いね」

話を逸らすべく舵を切るラディスの発言を片耳にルーティはその場に足を崩して座り直しスピカの頭を膝の上に乗せて安静にさせる。

「まー僕たち自由にやってたもんね」
「じゃあカービィ達も?」
「あんなイカれた連中と一緒にするな」

ふんと鼻を鳴らして銃をレッグホルスターに仕舞いながら吐き捨てるように言ったのはウルフである。可愛い後輩を庇いたいところだったが残念ながら同調の意見しか思い浮かばない──まさかイカれたとまでは言わないがそれでも表向きは正常と見せかけて正義だの悪だのといったワードに触れるといくら先輩という立場であれ先程のように手が付けられなくなってしまうというのが現状。

子どものように癇癪を起こすだの言うことを聞かないだのではなくまるで話が通じないのだ。個性豊かな集まりという点に関しては此方の部隊と大差ないはずなのに、どうしてこうも意気投合して同じ思考を持つのだろう──いや共に戦う仲間として一致団結することは寧ろ褒められたことなのかもしれないが。もしや定期的に開かれている、例の定例会議とやらで洗脳や催眠に近い刷り込みでも行われているんじゃなかろうか。……

「でも……心配だな」

ラディスは苦渋の表情を浮かべながら。

「作戦の一環とはいえダークシャドウはダーズに加勢しているんだろう? 彼らの性格を見るに、事情を説明したところで納得してくれるどころかキーラに加勢して衝突しそうなものだが──」
 
 
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