第十一章
どさり、と。地面に横たわれば──沈黙。
それまで応戦していたウルフは僅かに息を弾ませながら口の端に滲んだ血を手の甲で拭うとすぐ近くで武具を消失させてこの状況を冷たく見据えるミカゲを横目に見た。直後に駆け寄ってきたルーティは顔面蒼白でスピカの体を急ぎ抱き起こして揺すったが、重力に従って首を垂れるばかりで反応は見られず焦りを覚えてしまう。
「スピカ……スピカ……っ!」
繰り返し呼び掛けても尚。
「落ち着きなよ」
カービィが割って入るように口を開いた。
「血、出てないじゃん」
……え?
「峰打ち」
ミカゲは小さく息を吐いてぽつりと。
「気絶しているだけで御座る」
…………気絶?
「ぁ、え」
ルーティは顔が熱くなるのを感じながら。
「そう……」
早とちりにも程がある!
「一時的な処置のようなもので御座る」
ミカゲは冷たく釘を刺すように。
「次に目覚めても尚状況が変わらなければ、その時は。……」