第十一章
この短い間に彼らがどういった人種であるのかある程度想像が付いたのだろう──少しばかり手荒に攻撃を阻止したがそれでもラディスが冷静且つ慎重な姿勢であることに変わりはなかった。
「俺のことは知っているかい」
ラディスは訊ねる。
「特殊防衛部隊DX部隊の元リーダー」
思っていたよりも素直に──けれど一切視線を寄越さないままミカゲが答える。
「"この世界"を双神の魔の手から守る為に魂も諸共滅ぼした英雄。正義の象徴」
淡々と。
「何の因果かその様な形ではあるが姿形は違えど拙者等にとって永劫尊敬に値する人物である事に変わりは無いで御座る」
但し。ミカゲはようやく視線を寄越して紡ぐ。
「今後の態度次第では御座るが」
「抜かりがないな」
ラディスは苦笑する。
「尊敬してくれているのは嬉しいよ。その言い分だと君たちは誰彼構わず敵視している訳じゃないみたいだね。……じゃあ」
未だ戦いの音が途絶えぬ方向に目を向けながら。
「今、狼の彼が戦っている子の中に」
ラディスは紡ぐ。
「クレシスという名前の元DX部隊の隊員の魂が入っているとしたら──どうする?」