第十一章



身じろげば。冷たく視線を刺して容赦なく前腕を強く押し付けられる。それでも尚抵抗しようと頬に青の閃光を走らせればミカゲは躊躇なく空いた手に水苦無を生成して構えた。


──正義が正義を濁すのであれば。


朧げだった記憶が鮮明に。


──いっそのこと終わらせてしまえばいい。


天空大都市レイアーゼが誇る正義の忠実。

第四正義部隊フォーエス部隊。


僕たち、X部隊とは違う。

能力の話じゃない──正義に対する心構えと弛まない意志。恐ろしいまでの拘り。故の強さ。


「……呆れた」

カービィは鼻を鳴らして嘲笑する。

「それでお仲間さんを潰してれば世話ないね」
「言いたいことはそれだけか?」

一瞬の間を置いて。カービィが振り向きざまに銃を構えたが発砲音と共に弾かれた。予想通りの展開とはいえここまでくるとどっちが悪かも分からない。カービィは鼻で笑って聞いた。

「延長できる?」


二度目の銃声が鳴り響いた。


「……!」

高く舞い上がった銃が地面に落ちて転がる。

「待ってくれ」

まだ頬に電気を跳ねさせながら。

「話を聞いてほしい」

ゆっくりと進み出たのは。

「……ラディス」
 
 
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