第十一章
装填の音にラディスの耳が跳ねた。
「だからっ!」
案の定スピカに向かって銃を構えるジョーカーに気付いたカービィが既の所でその手をワイヤーで捕らえて引けば指が引き金を引いた頃には虚空に向けられていて。
「話くらい聞けって言ってんでしょ!」
なんて声を上げて訴えかけたところで今度はミカゲがそれまでいた木の枝を蹴り出して戦地に飛び込むのだから埒が明かない。
「ルーティ!」
「うん!」
ラディスの呼ぶ声に頷いて飛び出す──着地したミカゲが地面に深く踏み込みながら攻撃を仕掛けるべく水手裏剣を生成する頃にはルーティもその正面に回り込むことに成功していた。
「ミカゲ!」
そうは叫んだが今度という今度は聞く耳を持たないようでミカゲはそのまま生成した水手裏剣に水を練り込んで肥大化させると腕を薙いで払った。すかさずルーティは躱したが代わりにラディスが稲妻を撃つことで膨張──爆散。息つく間もなく今度攻撃の対象が切り替わったのであろう差す影に顔を上げればもう既に生成した水苦無を構えたミカゲが引いた腕を払うところだった。
「さっさと話の決着をつけろ!」
未だスピカの攻撃を阻止しているのであろうウルフの声が聞こえてきてルーティは小さく頷き目の色を変える。低く身を屈めて薙ぎ払いを躱し更に手の甲でその手首を打って懐を開かせようと試みるがあちらも動きを読んだのか受け流しながらの回し蹴りで対抗。出来れば両腕を使いたいところだったが間に合わず片腕だけで防御するも今度は右足に何かが絡み付いて。
「な──」
遠隔からのジョーカーの補助ワイヤーである。気付いたカービィが先程自分がされたように銃を撃ち銃弾でワイヤーを断裁したが残念ながら体勢は崩された後。
「ルーティ!」