第十一章
狙っていたんだ。
覚醒して。自身が置かれた状況を呑み込んだその瞬間からこの上ない好機だとばかりに。
実際は自分達が目の当たりにするよりも前から何度もチャンスを窺っていたのだろう。その都度恐らく偽物を身代わりに使って欺いていたのだ。
正義部隊──特にフォーエス部隊の悪に対する執念は計り知れない。それでもまさかここまでのものだったとは。此方の訴えに考え一つ揺らがない彼らにルーティは口の中が乾くのを感じた。
「でも」
負けじと口を開く。
「スピカは」
ここで屈してはいけない。
「僕の」
この声が彼らの耳に届く内に。
「僕たちの──!」
止めないと。
「、!」
咆哮に気付いて振り返ったと同時に赤の障壁が展開される。それの正体がパートナーの繰り出したリフレクターだと知って思わず目を開いた。
「何をチンタラしてやがる!」
事態を察知したのか否かウルフェンを乗り捨てて空から着地を決めるという豪快な登場をしながらのそれである。此方の事情など当然知る由もなく放たれた雷撃をリフレクターを使って防ぎながらウルフは顔を顰める。
「そいつは待っちゃくれねェぞ!」