第十一章
熱い。熱い。
体が焼けるように──熱い。
「──ッ!」
確かに目は開いているはずなのに視界に飛び込んでくる物体も景色も何も認識できない。俺はどうしてこうも声を枯らして、叫んで、薙ぎ倒して。
……誰の為に?
「もうやめるんだっ、──!」
黄色い生き物が行く手を阻むように。此方からのコミュニケーションは一切通じていないようで小さな腕を横に広げて立ちはだかるその生き物は繰り返し頭を横に振って訴えかけている。その内にまるで皮膚の表面が焼かれるような痛みを覚えて腕を抱える自分を案じるように身じろいだけど。
「、ァ」
ラディス。
「アアァアアアァアアアッ!」
鋭く突き刺すような激しい頭痛に髪を掴む勢いで頭を抱えて。全身から溢れ出した黒を帯びた電気が否応なしに容赦なく。黄色い生き物は一切立ち退かずに頬に青の閃光を迸らせたがそれとは別に覚悟を決めたように目を瞑った。
「父さんっ!」
爆発音──黒煙が一定の範囲を呑み込む。
「……間に合った……!」
聞き覚えのある声が聞こえてくればラディスはハッとしたように顔を上げた。幸いにも黒煙は強い風に吹き飛ばされて全貌が明らかとなる。
「ルーティ……」
「大丈夫だった?」
「あ、ああ」
ラディスは小さく咳き込んで。
「でも」
僅かに顔を顰めながらゆっくりと視線を遣れば。
「……あれだよね」