第十一章
親子、なんて話すということは。
「ウルフ!」
呼ぶべく叫べば上空から。
垂直落下の勢いで強風を起こしながらスピカの目の前を過ぎ去ったのは赤の両翼が際立つ戦闘機。それは瞬く間にルーティの元へ駆け付けるとその機体を使って下から掬い上げた。
「なっ?」
ラディスは振り返ってスピカに笑いかけたが。
「……スピカ君?」
何かが引っ掛かっている。
「あ、っだぁ……」
文字通り救われたとはいえ体を打ち付ける形となったルーティは顔を歪ませて呻いた。戦闘機とは言わずもがなウルフェンである──それを操縦するのはパートナーたるこの人以外には基本的には当て嵌まらない。ウルフは操縦席から硝子越しにルーティを一瞥する。
「受け身を取らねえからだろ」
「あ、あのスピードじゃ無理だよ……」
「だったら文句を垂れるな」
いつもの言い草とはいえ。
「もうっ」
腰を摩りながらコックピットに躙り寄って。
「少しは僕のこと労、わわっ!?」
突如機体が大きく揺れればしがみつく。
「……へっ!?」