第十一章



スピカが顔を上げるとちょうどラディスが飛び出していくところだった。対岸から飛んできた水手裏剣を空中で体を大きく捻りながら一時的に鋼のように硬化させた尻尾ではたき落とし、銃弾は自分を中心に円を描いた形の放電により焼き焦がすことで無力化に成功。

けれどこうなれば次身動きが取れない──対岸の二人もそこまで見越していた様子でそれぞれ武器を構えるのが見えてスピカもまた頬に黒い閃光を跳ねながら睨みを利かせた。

その時である。


「っだぁあああぁああーッ!」


気迫の込もった声は上空から。


「、!」

スピカは目を凝らして──驚いた。雲の壁を突き破って差し込んだ太陽の光をバックに青い閃光を纏いながら急速落下してきたのは紛れもないルーティだったのだ。狙うは対岸の二人──そのものではなく彼らが足場として使っていた浮遊する触手。それが狙いだと気付いた時にはもう遅くルーティは腕を交差させて防御を固めながら──その体ごと──触手を貫く。

「おわっ!」

触手を両断するまさかの圧巻の光景に見とれている暇もなくラディスが声を上げたのは攻撃の後隙で無防備に落ちるその寸前だった自分の体をカービィが掬い上げたからである。

「ほんっ……と、学ばないよね」

嫌みたらしく眉を寄せながら吐き捨てれば。

「学んでいるさ」
「はぁ?」
「助けに来てくれただろ?」

これである。

「うーわほんと親子」

カービィはばつが悪そうに顔を背けて。

「嫌な学習しないでよね」
 
 
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