第十章
訝しげに小首を傾げるルーティを真似るように、ダークファルコはわざとらしく首を傾ける。
複製の動力源──そのまま神力を使っているのではとも思ったが違うと否定されるより先に確かにそれでは神力が尽きた瞬間使い物にならなくなるリスクがあるという解に辿り着く。その都度神力を補充していたのでは彼ら自身も神力を枯渇させてまともに戦えなくなってしまうだろう──此方としてはその方が助かるのだが。
そもそもマスターやクレイジーには神力を補給する宛基信仰があってもキーラやダーズにはそれがない時点で彼らにとって神力はどうあっても自分の為に使う以外に有り得ないことだろう。
例え奪われても命を失ってもデメリットのない複製の動力源──そんな都合の良いものなんてある訳が。ルーティは眉を寄せていたが。
「灯台下暗し」
ヒントを与えるようにダークファルコが小さな声でぽつりと言って目を細めると。
「……あ」
いるじゃないか。
魂の眠ってしまったその抜け殻を。偶然か必然か今や我が物顔で自在に操っている前例がそこに。
「よくぞお気付きになられました」
ダークファルコはにっこりと。
「いい顔ですよ」
ルーティ以外の面々も事態を呑み込み始める。
「やりやがったな」
ウルフは皮肉るように呟いた。
「じゃあ……複製を動かしているのは……」
震えた声で言えば何食わぬ顔で答えるのだ。
「