第十章
「ダーズ様早すぎぃ」
「どうかされましたか?」
遅れてダークフォックスとダークファルコがやって来た。どうにも気の滅入りそうな状況の中こういう事態を理解していない呑気な声音というものはそれとなく安心感を覚える。
「ちょっと……色々あって……」
「もしかしてそれぇ?」
「もしかしなくてもそれですねえ」
「リーダー!」
そうして駆け付けてきたダークウルフが真っ先に案じたのはやはり安定のスピカだった。
「大丈夫でしたか!」
「……ああ」
相変わらず何処かぼうっとしたような様子で答えるスピカにダークウルフも我に返ったように「すみません……」と目を逸らす。彼らの普段の関係性を知っているだけあってこのぎこちない空気感は胸が痛む──スピカには一刻も早く元の記憶を取り戻してほしいところである。
「……こいつは」
ウルフが口を開くのでルーティは振り返った。
「偽物だな」
「本当?」
「そもそも匂いが違え」
そう言ってウルフは立ち上がる。
「おや。いい点に気付きましたね」
「良くも悪くも作り物なんだよなぁ」
彼らも口々にそう言ってくれたがそもそも悪い点しか思い当たらないのは気のせいだろうか。
「そういえば」
ダークファルコはにこやかに。
「その複製の仕組み理解していますか?」
突然の質問にルーティはきょとんとしながら。
「えっと……オリジナルの
「はい。でも、そのままでは動きませんよね」
何が言いたいんだろう。
「複製の動力源は何でしょう──?」