第十章
懐に入るならそうして絆した方が手っ取り早いのだろうが何処かでぼろが出やしないかと要らぬ心配をしてしまう。それならそれでこの今みたいに黙っていればいいんだろうけど……
「いいよ」
ダーズの言葉に思わず目を丸くした。
「オレが馬鹿じゃないのは知ってるだろ」
ずる。ずる。
何かを引き摺る音がする。
「引いて」
ルーティは目を凝らしてみて初めて状況に気付いた──というよりはようやくこの暗闇に目が慣れたといったところか。兎角対面しているダークシャドウの三人……ダークフォックス、ダークファルコ、ダークウルフの背後に見えたのだ。
蠢き犇く黒い物体の群れが。
「ダークシャドウだっけ」
不気味な背景とは裏腹にダーズはあっけらかんとしたいつもの調子で。
「破壊神を迎えにきたの?」
「まさか」
ダークファルコはあくまでもにこやかに。
「お迎えに上がったところで何になりましょう」
「仲間じゃないの?」
「欲を言うならもっと使い勝手の良い体に作っていただきたかったですね」
「ふぅん」
ダーズは質問を続ける。
「……見捨てるの?」
嫌な予感がした。
「ぁ」
ルーティが小さく口を動かしたのを他の五人が見逃すはずもなく。この質問にはより慎重に答える必要があるだろうと密かに視線を交わし合う。