第十章
◆第十章『
暗い。……寒い。
この場所は。覚えがないはずもない。
「顔色が悪いですよ」
声を掛けられてぎくりとした。
「暖めて差し上げましょうか」
「いぃ、いいよ」
「そうですか」
ダークファルコは笑う。
「鳥の基礎体温は高いのに」
亜空間ではない。表の世界なのだ。
光の化身キーラの影響によって昼夜関係なく光満ち足りる今現在のこの世界の何処か──光あれば影が差すのは当然だとしてもこれほどまでに暗く深い闇は他にないだろう。
「浮気っスかぁ?」
ダークフォックスは先程からルーティに付き纏うように隣を歩きながら厭に構うダークファルコの正面に回り込んでその足を止めると不満げに眉を寄せて腰に手を当てながら。
「リーダーがヤキモチ妬いても知らないっスよ」
「妬いてくれるなら可愛いじゃないですか」
ダークファルコは変わらぬ態度。
「え、ええっと」
なんてルーティが戸惑っていると不意にぐいと腕を引かれて目を丸くした。そうして彼らと一定の距離を離した後でその腕を引いた張本人は手荒に解放した上で背中を蹴ると。
「った、」
「ちんたら歩いてんじゃねえ」
「だからって!」
ウルフはふんと鼻を鳴らしてぶっきらぼうに。
「目的を思い出せ」