第九章



からかうピットに素っ気なく言ってそっぽを向くカービィ。ルーティは腕の中のラディスと顔を見合わせると思わず小さく笑った。

「お話は終わりましたか?」

声を掛けてきたのはダークファルコである。

「早くしないと"これ"閉じるんスけどぉ」

これ、と気怠そうに言いながらダークフォックスが親指で指した空間の裂け目は成る程確かに先程よりか縮小しているような気がする。ルーティはそれぞれに目配せをして頷くと空間の裂け目のその目の前まで駆け寄った。ふと、嗅ぎ覚えのある匂いが鼻について目を向ければなんとウルフが一服している。大丈夫なのだろうかとは思ったが血肉を日常として気にも留めない彼らが今更煙草の一つや二つ気にするはずも……

「感心しませんねぇ」
「俺、その匂いきらぁい」

すみません!

「あ、後でよく言っておきます……」

僕は保護者か!

「もうっ」

言われちゃったじゃないかとばかりにひと睨みするルーティだったが対するウルフは知らぬ存ぜぬといった様子。それどころか煙草を足下に落として踏み付けて火を消すのだから声にならない。また言われるぞとルーティが慌てたのも束の間腕の中から飛び出したラディスが小さな電撃を放って煙草を炭にしてくれた。

……してくれた?

正しい対処法だったのか?

「あまりとやかく言いたくはないんだが」

ダークウルフは言いづらそうに。

「皆の食事の場を汚さないでもらえると助かる」

本当にごめんなさい!
 
 
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