第九章
辿々しいながらも説明していく中でラディスは両耳を跳ねると「あの子か」と呟いた。思わず首を傾げる。──父さんと会うまでの間にタブーはスピカに亜空間に連れ戻されていたはずだけど一体何処で会っていたんだろう?
記憶違いの可能性もある。父さんのことだし……なんて失礼なことを考えながらふと視線を遣ればダークシャドウがやったのか否か内側から破裂したかのような形で開かれた空間の奥に今あるこの場所よりも暗く深い闇が広がっていた。
この先に──
「ボク達は先に向こうに行ってるよ」
ルーティは感嘆符を飛ばして振り返る。
「一緒に来ないの?」
「嫌われているみたいなので」
パルテナがわざとらしく言うのでルーティは間に受けて酷く慌てた。パルテナはくすくす。
「冗談です。ただ残念ながら彼らと私たち女神や天使は相性が悪いですから」
これには納得せざるを得ない。ブラピはともかく二人は光を司る女神とそれに仕える天使である。
「ちなみにブラピも天使ですよ」
「えっそうなの?」
「何だと思ってたんだ」
「堕天使とか……悪魔とか……」
「ふぅん」
、強く否定しないんだ。
そっちの方がよかったのかな?
「カービィは?」
「あんた達だけじゃまた無茶するでしょ」
ついてきてくれるらしい。
「そんなこと言ってラディスさんと一緒に居たいだけなんじゃないのー?」
「うるさいなぁ」