第九章



ルーティは思わず口を噤んだ。

そう──今現在表の世界は昼も夜も関係ないとでもいうように時間の流れとは裏腹に空は晴れ渡り光に満たされている。まさか目も眩むようなそれではないにしろ何より光を最も苦手としているダークシャドウにとっては自由に活動するにも限界があるだろう。そしてそれを回避しようにも──キーラのことだ。対策は取るはず。

「何も考えていないものとは恐れ入りました」

そしてこの追い討ちである。

「ファルコ」

余計なことを口走るなとばかりにダークウルフがぴしゃりと呼んだ。

「失礼」

とはいえ、……彼の言う通りである。

多勢に無勢と見て協力を要請するまでの流れは悪くなかったとは思う。だがしかし彼らは良くも悪くも普通の人間じゃない──照り付ける太陽の下で活動を続ければ皮膚が焼け爛れてしまうような脆い存在。もちろん脆いばかりではなく、例えば日の沈んだ闇の中では真価を発揮するのだが──


「……そうだ」


ルーティは何を閃いたのか小さく呟いた。

「どうしたのさ」
「っ、ダーズだよ!」

少しばかり食い気味になりながら。

「まさか」

カービィは眉を寄せる。

「アイツに媚を売ろうっての?」
 
 
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