第九章



その時である。

「、!」

カプセルベッドが微かに振動を起こしたのだ。それはどうやら他の部屋でも同じだったらしく先程よりは落ち着いた足音で駆け込んできた他三人を見て察した。その間にもカプセルベッドの振動が落ち着いたかと思うと次いで僅かに煙を吐き出しながら蓋を疼かせ、ゆっくりと。

「……ン」

寝返りを打って仰向けに転がったダークウルフは小さく呻いて瞼を薄く開く。

「お、起きた……?」

恐る恐るルーティが覗き込みながら訊ねれば。

「、あ……?」

当然すぎる反応が返ってくるわけで。……


「驚かせてごめんね」

場面は変わって──ダークシャドウ基地内にある食堂の一角。

「いや」

ダークウルフは否定しようとしたが、

「……まあ」

強く否定されなかった辺りお察しである。

「一時的に休戦協定を結んでいるとはいえまさか敵軍に寝起きドッキリなるものを仕掛けられるだなんて思いませんでした」

と──まるで代弁するかのように口を挟んできたのはダークファルコだった。

「心臓が飛び出るかと思いましたよ」
「はん。いいぜ。そのままくたばっちまえよ」


この人はッ!


「あ、あははははは………!」

これから大事な交渉をしようって時に何を言い出すんだ! 引き攣った笑みを浮かべながらブラピの口を塞ぐピットとそんな彼らを背にしながら苦笑を浮かべるルーティだったがダークファルコは別段気にした素振りも見せずに……

「活きが良いですねえ」

……これは気にしてないと言えるのか?

「ほざけ」

視界の端に銀の光沢。

「どっちが優勢かよく考えて物を言うんだな」

やっぱり駄目だったー!?
 
 
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