第一章
硝子の割れる音がして──厚い透明の壁が砕け散る。ルーティはその場で一度後転すると直ぐさま虚空を蹴り出して前転。雷を纏わせながら指を組んだ両手をハンマーのようにマスター目掛けて振り下ろす。けれど彼も直前で目の色を変えると一切の身振り手振りを介さずに今度は自身が装甲のように纏う黒と同じ物質で生成された防壁を展開して攻撃を受け止めた。
「往生際の悪い奴だ」
冷たく見下げる。
「創造神マスターハンドの防御を鼠如きがそう易々と突破できると思うな」
ルーティは薄ら笑いを浮かべる。
「ごもっとも」
青の閃光が迸る。
「……でも」
滾る。
「突破できなくてもいいんだよ」
──解き放たれる。
「!」
四方八方、縦横無尽に放たれる青い閃光が黒を押し退けて打ち払った。唐突に無防備を晒され体勢を立て直すべく右手を構えるも、死角から伸びた手に掴まれて阻止される。その相手が何者であるか確認する間もなく力技で空へ放られたかと思うと即座駆けつけたそのパートナーが脇に一撃と踵落としで地面に叩き落とす。
「決まったな! ルーティ!」
華麗に着地して親指を立てるソニックを相手に気恥ずかしそうに笑った。
「僕だけが戦っているわけじゃないからね」
「そういうことだな」
パンパンと手を叩いてスネークが息をつく。
「……く」
ふらつきながらも立ち上がる。不意を突かれたお陰で受け身を取れずその体を酷く地面に打ち付けたマスターは注意力が鈍っていた。視界がチカチカと儘ならない中ではまたもや死角から飛び込んできた影に気付かずに。
「ぐ……っ!」
諸共地面に転がり伏せる。