第九章
ルーティは疑問符を浮かべながらもそろそろと近付いた後その後ろから先程からウルフが注目しているそれをひょいと覗き込んだ。
「え」
そして──目を丸くする。
ウルフが目前にしていたのは楕円型のカプセルベッドだったのだ。全体的に黒塗りで構成されたそれの半透明の蓋越しに影を見つけて目を凝らしてみれば誰かが眠っている──言うまでもなくその正体がダークウルフだと気付いたルーティはすかさず蓋に張り付いて軽くノックしてみたが案の定一向に目を覚ますような気配はなく。
「疲れてるのかな……」
なんて呟いてはみたがそんな筈はないのだ。何せ解散して随分と時間が経って──
「っ、え」
乾いた音が響いた。
「……起きねぇか」
銃口から漏れ出す硝煙を払うように銃を振るって気怠そうに眉を寄せながら呟く。一方でわなわなと震えていたルーティは硬直が解けると、
「何やってんのぉぉぉ……!?」
なるべく声を押し殺しながら。
「起きたらどうするの!?」
「てめえは寝顔を見に来たのか」
「そうじゃないけど!」
ルーティはカプセルベッドを指差すと、
「危ないでしょ!」
「元々敵だろうが」
「そうじゃなくてっ」
「ルーティ、大丈夫か!」
ばたばたと騒がしく足音を立てながら飛び込んできたのはラディスとカービィである。
「今、銃声しなかった?」
「だってウルフが……」