第九章
実際、今この場において最高の地位である神様がいるという点は非常に心強い。
ただひとつだけ問題があるとすれば。
彼女が光を司る女神で。
対する彼らが光を最も嫌悪している存在──偽物集団ダークシャドウだということ。
「撤退させられてたんだっけ」
カービィが訊ねるとルーティは小さく頷いた。
「本当に……司令塔に侵入する直前まで、面倒を見てくれていたから」
偽物集団ダークシャドウといえばご存知の通り、マスターとクレイジーが新世界創造計画を遂行する上で邪魔となり得る存在、即ち特殊防衛部隊X部隊に対抗するべくして生み出した姿形も能力も何も全てコピーした人型戦闘兵器。
そんな彼らが今回の事情を知って手を組んでくれるかどうかというのは正直な話──微妙なところである。誰か一人でも亜空軍側の存在が此方に残っていれば話は違ったかもしれないが残念ながら彼らダークシャドウが慕う全員が敵の手に落ちてしまっているという現状。
いずれ打破することで肉体を奪い。
本物に成り変わるのだと豪語している彼らが。
仲間を正気に戻したいという此方側の都合だけで生かしておいてなどくれるものだろうか──?
「話は通じる人たちなのか?」
そういえば。この中で唯一ラディスだけがダークシャドウと面識がないのである。相変わらずカービィの腕の中に収まっていたラディスが訝しげに訊ねるとルーティはぎくりと肩を跳ねた。
「ま、まぁ」
「当たり外れがあるよね」
こういう時──も何もいつもの話だがカービィは言いたいことを率先して言ってくれるものだから何気に救われている。
「会ってみれば分かるよ」