第九章
亜空間──太陽も月も光と呼ばれるものは一切存在せず地面を覆うように紅紫の煙が蔓延する未だ解明されていない未知の世界。
「この場所を出てから考えましょうか」
今のところは敵の姿が見当たらないというだけに過ぎない。作戦を練るのにこのまま未開の地に留まるよりか多少危険があろうとも表舞台に出向いた方が結局のところは見晴らしもよく判断を違うことはないだろう──だがしかし。
偶然か或いは必然か。こうしてこの場所を訪れた時点でルーティにはある考えが浮かんでいた。
「……待って!」
先程もそうしたのであろう空間を切り開くべく杖を構えていたパルテナに向かってルーティは声を上げて呼び止める。
「僕の考えを聞いてほしい」
ピットとブラピが肩を並べて同時に振り返るその横で何かを察したカービィが息をついた。
「それさぁ」
「──大丈夫!」
そうは言えど単なる勢いで飛び出しただけの自信というものは即座に失せて。
「……だと、思う」
そうした双方のやり取りにようやく察したのだろうピットは「そうか!」と目を丸くしながら声を上げたが彼も直後に苦い顔をして隣を見た。
「……何だよ」
怪訝そうに眉を寄せるブラピの後ろのパルテナに次いで視線を注げば知ってか知らずか目を細めて笑って返すのだから何とも説明し難い。
「もったいぶらずに言えッ!」
「お、横暴だよ!」
「言いたいことは分かりました」
鶴の一声というか何というか。
「えっと」
「ご心配なく」
パルテナはお馴染みの屈託のない笑顔で。
「神様ですから」