第九章
──渦巻く空間の裂け目を抜けた先。
「うわあああっ!」
まさか光の戦車たるそれが急に止まれるはずもなく横倒しとまではいかないまでも強い揺れによって戦車の中から荒く放り出された一向は容赦なく地面に体を打ちつけられる羽目になった。
「ぅごおッ!」
次いで空間の裂け目を抜けてきたカービィは鈍痛に声を上げるブラピを目にラディスを改めて胸に抱きかかえながら感心したように。
「へー。本当に言うんだ」
もはや説明するまでもないだろう。
ここは"この世界"の裏側に広がる裏世界。
「……そうだったんだ」
パルテナの光の力で傷を癒した後でルーティは自分とラディスが異空間に飛ばされていた間に何があったのかを事細かに聞いた。
話によるとあの後も引き続き戦いに巻き込まれたがその戦闘中強い衝撃が原因なのか否かブラピが正気を取り戻したらしく──それを聞けただけでも大変な収穫だと確信した。スマッシュブラザーズたる彼らは勝負に打ち勝てば洗脳から醒めるというのは紛れもない事実だったのだ。
「それで」
カービィは呆れたように。
「あの数を自分らだけでどうにかしようって?」
うっ。
「多勢に無勢って習わなかったかなー」
「まあまあ」
「宥める側の立場じゃないでしょ。ミイラ取りがミイラになったくせに」
苦笑気味に話に入ろうとしたラディスもド正論のストレートパンチにより玉砕。
「でも、よく僕たちの居場所が分かったね?」
ルーティが聞くとパルテナはにっこりと。
「光の女神ですから」
そういうものなのだろうかと何とはなしに疑ったが確かにマスターとクレイジーとタブーも神力の関係でどんなに離れていても互いの場所を認知できるのだとか何とか──そこまで考えたところで神様であれば同じような探知能力が備わっているであろう事実に気が付く。
そしてそれはあの光の化身キーラと混沌と闇の化身ダーズも例外とは言えないことだろう。つまりここに居座り続けるのは安全とは言い難い──
「さて」
言うより早くパルテナが話を切り出した。
「どうしましょうか」