第八章
どんなに泣いても叫んでも助けてくれなかったお兄様。おれを愚弄したお兄様。大嫌いな天空人と同じ光に選ばれ光に恵まれ光を望んだ──
一緒に生きたかったのはおれだけ?
愛していたのは。……
「ッが、は……」
ダーズの声が頭の中に流れ込んでくる──依然として晴れない砂煙の中でルーティは首根っこを掴まれ背中から地面に叩き付けられていた。こんな勢いではもはや頭をかち割られてしまっているのではないかと錯覚したが何かしらの障害を引き起こしていない辺り奇跡的にも無事だという話なのだから己の身の丈夫さには感心を通り越して呆れさえ覚える。いっそのこと意識が飛んでしまえばある意味では解放されていたものを。
「……そこに、……いるのは」
息も切れ切れに訊ねる。
「ダーズ?……」
目の前のウルフは唸っている。
「君は……誰を助けたいのかって聞いたけど」
ゆっくりと手を伸ばして。
「……僕はね」
首根っこを掴むその手に触れる。
「この世界も神様もパートナーも全部」
微笑する。
「……助けるよ」
その時。
目の前のその人は初めて目を開いた。
「無理だって思うでしょ。無茶苦茶だよね」
ルーティは苦笑する。
「それでも」
程なくして頬に青白い閃光が迸る。
「諦めることだけはしたくない」
離れようとしたその腕を強く掴んで捕らえる。
「どんな困難にだって立ち向かう」
双眸に闘志が宿る。
「それが」
僕たち──スマッシュブラザーズだから。