第八章
ばちん、と。
弾けるように現実に引き戻される。
「……ダーズ」
映像の中の音声は途切れ途切れになっていた。映し出される場面は要所要所にノイズが走っていて不安定なものとなっている──そんな中ふと映し出されたのはキーラと対峙するダーズの姿。それは幾分か前に目にした場面と酷く似通っていて、相反する存在としてそれぞれ光と闇を従え向き合う彼らに残念ながら初めの頃のような陽だまりのような情は窺えない。
「お前の様な酷く見窄らしく穢らわしい
冷たく吐き捨てられる言葉にダーズは笑って、
「大丈夫だよ」
闇の力を増幅させる。
「こんな世界は終わらせてあげるからね」
目を細めて。口角を吊り上げて。
「一緒に死のうよ。お兄様」
あんなに愛し合っていたはずなのに。
生きたかったはずなのに。
「、……ルーティ」
ようやく本当の意味で現実に戻ってきたらしく今度ははっきりと父の声が聞こえた。何度そうして呼んでいたのだろう、いい加減聞こえていないものと踏んでいたのか諦めていたのか服の裾を緩く引いて小さな声で──それでも尚心配そうに見つめている。目の前で織り成されていた惨劇とも言える映像は今度こそ途絶えて後に残るのは暗く物悲しい静寂ばかりで。
「、あれ」
ルーティは自分の頬を伝うそれに気付いた。
「なんで……」