第一章
嗚呼。正義の終着点に我々は在るのだ。
悪を打ち砕かんと立ち向かう戦士たちを目前にすると何物にも変えられない喜びを感じる。
愛が歪んでいても。
また。相見えるのなら。
「アハハハハ!」
魔導書を構えた腕を掴まえて大きく振り回した後に此方へ向かってきていた軍師の妹目掛けて解放する。狂おしい声を上げながら溢れ出して止まない破壊の力を具現化させるかの如く纏う黒はクレイジーが左腕を振り上げる動作に従い魔獣の腕を生成して──刹那、叩き付ける。
「もっトもット、僕たちを愉しませろよォ!」
舞い上がる砂煙に向かって嘲笑する。
「──ああ。やってやるさ!」
砂煙を突き抜けた先。上空から降り注いだ声に顔を上げれば互いの手を繋ぎ合わせる事で枯渇した魔力を供給して補った双子の軍師の姿が。それぞれの右手と左手を差し伸ばせば背後には赤の魔方陣が浮かび上がり、双眸に金色の灯をともして──息つく間もなく解き放つ。
「ボルガノン!」
声に従って放たれた業火が渦を巻いて柱となり地上の破壊神目掛けて突撃する。だがしかし。
「っ!」
炎は障壁に打ち消された。
「そんな技に僕がヤラれるわけないだろォ?」
ノイズの掛かった不気味な声が嗤う。
「壊--・-・て・-- -・--・ッッ!」