第八章
ぼくたちは双子。血の分けた双子。
博識なお兄様と愚鈍なぼく。綺麗なお兄様と汚いぼく。光に恵まれたお兄様と。
恵まれなかったぼく。
場面が移り変わると一つの部屋の隅にある大きなベッドの上で少年が二人、向き合って足を崩して座っていた。瓜二つである少年の内一人はもう片方の少年の手を両手で優しく包み込んでは慈愛に満ちた目でその手を見つめる──するとどうだろう。淡い黄色の光が生まれるとその手を伝って片方の少年の体の中へまるで吸収されるかのように溶け込んでいったのだ。
「……お兄様」
胸の内側がじんわりと熱くなるのは。
この光のせいなんかじゃない。
「あ、あのね」
「ダーズ」
その人はわざとらしく小首を傾げる。
「お揃いは嫌いかな」
ああ。もう。
……ずるいんだ。
「そそそそんなことないっ」
食ってかかるように答える。
「お兄様の光は温かくて優しくて大好きだよ」
「はははっ」
兄は肩を竦めて笑った。
「私も。大好きだよ」
目を開いている間に腕の中。
「う、うぇえ?」
「四季の中で秋が一番好きなんだ」
優しく抱き締めながら。
「小川にも似ているかな」
「褒めてるの?」
「はは。褒めているとも」
笑いかける。
「私にとって一番心地のよい体温だよ」