第一章
耳を劈く──咆哮。空気が震え、這い上がる。
その一瞬怯んだのが運の尽きと嘆こうか砂利を踏み込む音と同刻その一体は地面を力強く蹴り出していた。自我があるのか否か牙を剥き目を開いて瞬く間に距離を詰められたのはマークでサンダーソードを構えた頃には目前に。
「くっ!」
振り下ろされた黒渦巻く装甲纏う左腕の一撃を弾き返したが、重い。生じた隙を埋めるように後ろから飛び出したルフレがサンダーソードを振るった頃には砂煙を残して消えていた。かと思えば死角から巨大な獣の前脚を象った一撃が二人を纏めて薙ぎ払って。
何か声を出すよりも早く不自然な陰りに危険を察知してルーティがその場から飛び退けば剣の一つが地面を抉る勢いで振り落とされた。息をつく間もなく今度は背後に気配を感じて攻撃による相殺を試みるも振り向いた頃にはウルフの蹴りが剣の一撃を弾いていて。
「鼠一匹でやれる玉じゃねぇぞ!」
「分かってるよ!」
一方で二つの剣を相手に立ち回るのはソニックである。薙ぎ払いを後転で躱したが背後の剣がその身を振り翳せば即座に地面を蹴り出し高く跳び上がって──回避。追う剣の隙を逃す筈もなく離れた位置からロケットランチャーを肩に担いで構えていたスネークが弾を撃ち出す。
「Great!」
弾が剣の一つを撃ち抜くと剣を象っていた黒はたちまち形を崩した。小さく口笛を吹いて賞賛するソニックも脇から現れた剣の攻撃を素早く蹴り払って相殺するとニヤリと笑ってそのまま前転──踵落としをお見舞いする。