第七章
虚空を蹴り出したクレイジーが狙う先にはダーズの姿があった。反応が遅れたのかはたまたブラフというものなのか兎角首を傾げるだけの彼にクレイジーは接近の最中左腕を打ち払った先──展開した小型の魔方陣の中心からエネルギーピラーを引き摺り出して振るい勢いよく叩き込む。
「僭越ながら誤りの訂正を」
その一方薄青色の防壁により創造された光の剣や槍の群れの突撃を防いだキーラはいつものように微笑みを讃える。
「──神とは私のみを指す」
自身の胸の上に片手を置けばそれを合図とする様に螺旋の羽が展開。目を細めればそのそれぞれが鋭く形状を変化させて狙いを定める。
「
標的と捉えられてしまったマスターは回避の姿勢に入るでもなく敢えてその場から動かずにただじっとキーラを見つめていた。その隙に螺旋の羽はタイミングをずらして突撃を仕掛ける──
「何を勘違いしているのか知らないが」
次の瞬間。展開した青の防壁が容易く螺旋の羽の攻撃を弾き落とす。
「それは古い本の話だろう」
マスターは小さく息を吐き出して。
「いつまでも過去の栄光に縋り付くとは。老害もいいところ」
冷たく目を細める。
「それとも。御伽話を信じてやまない純粋無垢な御子様でおられたかな──?」