第七章
それは、……そうだけど。
分かってはいるが放っておけばおくほど事態は悪い方向に転がっていっているような気がして他ならない。まさか説得だけで全てが丸く収まるものと思ってはいないがそれでも少しでも彼ら兄弟間の蟠りが解消出来たらと思っていたのは事実。純粋に思考を巡らせるだけでは救えないとは分かっていても今のキーラの発言とダーズの発言を照らし合わせてみても矛盾のようなものが生じているような違和感を拭えなくて。
「……でも」
ルーティは眉を寄せる。
「僕は」
こつん、と。
靴音が響き渡った。
「、?」
ルーティは振り返る。
入り口から入ってきたその人の姿は最初こそ逆光となっていたが直ぐにはっきりと窺えるようになった。マントを揺らして歩くのはX部隊の剣士を代表するポップスター出身の騎士。
「メタナイト……」
カービィが思わずぽつりと言ったが当然感動の再会という訳にはいかない。ひと言も交わさずその横を通り過ぎてメタナイトが向かう先。
「クレイジー」
マスターが小さく呼ぶとクレイジーはメタナイトをじっと見つめながら道を開けた。キーラは足を組んで静観している。──次の瞬間。
「──!」
メタナイトは鞘から剣を抜き取ると階段を駆け上がった。まさか洗脳を受けていなかった? だとしても彼が黙って行動に出るなど。
「マルスっ」
キーラに向かって振り翳したその剣の一撃を受け止めたのはマルスである。メタナイトはぎりぎりと押し合いながら不意に笑みをこぼす。
「くくっ……くはははは……!」