第七章
これは。
思っていたよりも。
「絶対仲悪いやつじゃん……」
カービィがぽつりと言った。
「そ……そうかな」
「どう考えても怒ってるっしょ」
「でも……喧嘩をしていたようには」
お兄様を殺さなきゃ。
「思い当たるんじゃん」
「え、あっ」
一瞬でも言葉を詰まらせたルーティを見逃さず、カービィは呆れたように息をつく。
「説得とか無理でしょ」
最悪の展開だった。
事前に話を親身になって聞いてくれていたふたりに限ってあの攻撃的な態度。キーラも目の色まで変えてしまって穏やかな口調ではあるが先程より空気はずんと重たくなってしまっている。
「へえ。見られたくないから閉じ込めてたの? あんな所に?」
クレイジーは嘲るように冷笑する。
「俄かには信じ難いな。仮にも血の分けた兄弟にそんなことをするなど光だの神だの語る者の所業ではない」
加えてマスターはくすくすと笑いながら。
「況してや不知だの愚かだのと吐き捨てるとは──実の兄弟を愛せずしてこの世界を慈愛する神になど成り得るものだろうか」
キーラは口を結んだ。
「ま、」
これ以上煽るなと口を開きかけたルーティをジグザグの尻尾で制したのはラディスだった。
「気持ちは分かるが」
その視線はキーラに向けたまま。
「今ここで通じないのなら俺たちが何を言っても耳を貸したりはしないだろう」