第七章
豪奢な絨毯が敷かれた階段のその先。
玉座の上で足を組むのは。
「凡そ神に向ける目ではないな」
「黙れ。成り損ないの癖に」
如何に機嫌を損ねないことが重要となるかといった場面で初手から容赦なく言葉の槍を投げるクレイジーだったがマスターは咎めなかった。キーラも想定内の悪態であったのか気にも留めていない様子で笑いかける。
「心にも無いことを仰る。今このタイミングで私に会う理由など一つしかないだろうに」
「勘違いも甚だしい」
今度はマスターが冷たく口を開いた。
「この世界の主たる権限が完全には渡っていないにも関わらず、よくも年端もいかぬ子供のように散らかしてくれたな」
ぴりぴりと肌を刺すのは。
紛うことなき──彼らの殺気。
「はは。そう気を立てずとも望んだ結末というものは既に彼方から歩みを進めているものだ」
「──混沌と闇の化身」
キーラの頭の羽が小さく反応を示した。
「これはこれは」
取り繕うようにして、微笑。
「随分と焦がれていたようだったが」
マスターは煽るように嘲笑を浮かべる。
「是非にその話を詳しくお聞かせ願えないだろうか──同じ弟を持つ、……兄として」