第七章



それでも。縋るような思いで目配せをした。

可笑しくてもいい。周りと同じように光の化身くらい幾らでも慕えばいい。五体満足で本物で欲を言うならばその手で触れてくれたなら。


……ウルフ。


「!」

歩いている間に周りの景色が変わっていた。

石造りの道に両脇にはまだ真新しい柱や反対に崩れかかった柱が点々と。その先には扉のない巨大な建造物が立ちはだかり両側にある松明が薄暗い入り口を照らし出している。

「お先にどうぞ」

中に入っていくマルス、マーク、ルフレを目にパルテナが先頭をにこやかに譲るとマスターとクレイジーは互いの視線を交わして先へ進んだ。そのすぐ後ろをパルテナ、次にピット、「ルーティ」とラディスに小さく声を掛けられルーティは残り二人に並んで入り口の先へと足を進める。


松明の火の鳴く音がする。

響き渡る靴音。


「──素晴らしい」

穏やかな賞賛の声が反響する。

「流石は"この世界"の主たる双神」

マスターとクレイジーは重く視線を上げる。

「……キーラ」
 
 
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