第六章
「お待ちしておりました」
びくりとしてルーティ含む一行は振り返る。
「マーク、ルフレ」
「……マルス」
ルーティに続けてカービィが呟いた。
「あら。歓迎してくださるのですか?」
「もちろん」
パルテナがにこやかに訊ねるとマルスは赤々と染めた目を細めて笑った。
「キーラ様の命令だからね」
カービィは眉を顰める。
「様付けとか冗談キツいんだけど」
「慕う相手に敬称を付けるのは当然だろう」
「嘘が嫌いなタチじゃなかったっけ」
「まさか」
マルスは口角を吊り上げる。
「本気だよ」
会話は出来ても言葉が通じない──ラディスも思う所はあったようだが今は余計なことを口走らずに乗せられる判断を選び取った。大人しくしていれば目的としている相手の元へ案内してもらえるというのだ。余計な体力を消耗せずに接触できるのは正直大きい。
ルーティは顔色を窺うようにマスターとクレイジーを交互に見たが神妙な面持ちである彼らもまた何も言わなかった。彼らの話していた通りキーラが交渉に応じるものとは思えないが少しでも彼の心に訴えかけることが出来たとしたら今後の展開が変わってくるかもしれない。
「行きましょう」
それぞれの思いを汲み取ってパルテナがひと言そう告げた。マークとルフレは従者のようにお辞儀をしてマルスはマントを翻す。そうして一行は歩みを進める──空へ昇る光の柱の中へ。
「……お兄様」
混沌と闇の中で純粋無垢に嗤う。
「今、迎えにいくね」