第六章
感情論だけで動いていい問題じゃない──
「ほら」
とぼとぼと歩くルーティをちらりと見て。
「落ち込んじゃったじゃん」
「し、仕方ないだろう」
わざとらしく耳打ちするカービィに乗せられてラディスは吃りながら返す。
「厳しく言うのだって父親の勤めだっ」
「本当にルーティの父さんなんだね」
ピットは感心したように口を挟む。
「これ元に戻す度に事情説明すんの?」
「骨が折れそうだな……」
「説明するの僕たちなんですけど」
「俺も協力するぞ?」
「絶対余計なことしかしないじゃん」
そんなやり取りとは裏腹にルーティは浮かない顔をしていた。無論先程の父親の放った台詞が引っかかっていた為である。
あの瞬間。
僕は言葉を詰まらせてしまった。
行き当たりばったりが許されるのは当然人の命や世界の命運が掛かっていない時に限る。全てが握られた状態である今気掛かりだから可哀想だからという理由で訴えかけようなんてその隙こそが最初で最後だったとして答えがどうあれ到底許される行為ではない。
思い付きや閃きで行動を起こして裏目に出たら今度ばかりは犠牲となるものが大きすぎる。
「らしくないな」
どきりとしてルーティが顔を上げるといつの間にかマスターとクレイジーが両脇に居た。
「酷く言い過ぎたんじゃないか?」
「めちゃくちゃオブラートに包みましたけど」
「あはは」