第六章



ルーティは思わずじいっとその目を見つめた。赤く染められていたその目は元の青色に戻っている。自分が谷底に落ちてしまった後でどんな戦いが繰り広げられたのかは知らないがきっと一筋縄ではいかなかったことだろう。

「ルーティ!」

とまあここまでは予測通り。次に死角から飛び付いてきたのはラディスである。

「賑やかだこと」

呆れたように言うのはカービィだった。父親が息子の帰還を喜んで何が悪いと嘆くラディスの頬擦りを苦笑気味に受け入れながらルーティは他三人の姿を探す。

「──ええ」

マスターとクレイジーはパルテナと話しているようだった。

「残念ながら」

……何の話だろう。

「ルーティ」

ラディスは心配そうに。

「何処も痛くないか?」
「、うん」

谷底で幻覚や幻聴に襲われた挙げ句ダーズの手によって鎖で捕らわれていた腕も触手の侵入を許していた胸も不思議なことに傷一つ見当たらない。まるで夢を見せられていたかのような、

「……僕」

夢の内容を思い出す。

「谷底で不思議な子に出会ったんだ」
 
 
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