第一章



◆第一章『スマッシュブラザーズ』



惑星フレイアム。

とある星から何億光年も離れた宇宙に浮かんだ惑星上の七割を海が占めるこの星は──恐らく"この世界"と称した方が皆々様にとって最も馴染み深いのではないだろうか。

創造欲の化身──即ち創造神マスターハンドの手によって生み出された"この世界"は数多によって綴られる物語の舞台だ。

その中でも特殊な部隊に所属している僕たちはゲームのキャラクターの模造品──つまり本人ではないにしても精巧に設定も現在過去未来の成り立ちも運命も人物像も何もかも全て忠実に似せられて作られた存在であるらしく。自覚は持てないけれど、どうやらマスターにとっては"この世界"の次の次に大切な存在らしい。

というのも彼には破壊神クレイジーハンドなる双子の弟がいて、これがまた付け入る隙もないくらい相思相愛を見せつけてくれる。その上で亜空軍だとかいう今ある世界を理想の玩具箱にしてしまおうなんて企んでる軍団の頭を勤めて立ちはだかるのだから無茶苦茶というか。


それでも。

"この世界"が僕たちの手ではもはやどうにもならない危機に瀕した時──神なる力の限りを尽くして戦ってくれるのが彼らなんだ。


形容しがたい形であれ。それは確かにひとつの愛で。彼らの手によって招かれ集い戦うことに喜びを覚える僕たちはきっと。

本当の兄弟も同然なのかもしれないね──
 
 
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