第六章
愛しているから、殺す……だって?
愛情表現など人によりけりだろうが狂愛の代名詞たるマスターとクレイジーが聞いたら卒倒しそうなものだ。普段ならそれは違うと声を張り上げるのだが生憎そんな気力も失せている。
まるで。
力を吸い取られているみたいだ。
「わぁ」
ダーズは触手を相手にうんうんと頷いて。
「お兄様と会ったんだね」
……まさか。
「、き」
言いかけて、
「あぐッ……!」
鋭い痛みが走る。
「何をしているのかって?」
いつの間にか。
ダーズは目の前にいる。
「お前をご飯にする前に必要そうな情報を抜き取っているんだよ」
ああ。
餌にするつもりなのか。
「ふふ」
抜け落ちていく。
光が。
……希望が。
「ひとつだけ」
ダーズはきょとんとして首を傾げる。
「聞きたい……ことがある、……」