第六章
少しずつ。暗闇にも目が慣れてきて。
その全貌が明らかとなる。
「ぅ」
ルーティは小さく呻いて頭を垂れた。
両腕は鎖によって捕らわれ宙吊りにされて──蠢く触手の群れが足下に。そしてその内の一本があろうことかその胸を突き刺している。だがしかし皮膚を破り肉を割いているわけではないらしく一目には突き刺しているように見えるが干渉はしていない。
「ボクの友達なのに」
ダーズは自身に纏わりつく触手を愛おしそうに頬を寄せて撫でながら。
「……痛いことするなんて」
鋭い痛みが襲う。
「ッあ……!」
胸を突き刺した触手が蠢いているのが分かる。まるで体の中を探られているみたいだ。
「、なんで……こんな……」
ルーティは項垂れながら途切れ途切れに問う。
「光は嫌いだって言ったよ」
ダーズは怪訝そうに首を傾げる。
「正当防衛だよ?」
駄目だ。話が通じていない。
「お兄様はね」
ダーズは頬を染めながら語り出す。
「温かくて優しくて皆の希望の光だったんだ」
ルーティは眉を寄せながら顔を上げる。
「でも、……殺す、って」
ふらふらと歩き回っていたダーズはその途端にぐりんと首だけをルーティに向ける。
「そうだよ?」
ゆっくりと歩み寄りながら。
「ボクはお兄様を愛しているから」